多くの国でブックメーカーとオンラインカジノでライセンス制が採用されるようになった経緯とは
現在、ブックメーカーとオンラインカジノはともに、営業をするためには運営会社を置いた国の政府からライセンスを取得するのが一般的です。見方を変えれば、日本でブックメーカーやオンラインカジノの営業が許されていないのは、営業を可能にするための法令がなく、刑法の賭博罪や賭博開帳図利罪などの賭けを取り締まる規定がそのまま適用されるためといえます。
ブックメーカーは、1790年代にイギリスのニューマーケット競馬場で開業された賭け屋がルーツであることはよく知られていますが、できてからしばらくの間はライセンス制度はおろか、取り締まるための法整備もほとんど行われていませんでした。これは業者の参入を容易にする一方で、お客さんから多額のお金を得ようとする悪質な業者の参入も招きました。19世紀半ばにはイギリスの議会でギャンブルを禁止する法案が成立し、名実ともにブックメーカーが取り締まりの対象になりましたが、それにも関わらず当局の監視の目をかいくぐって営業を続ける業者や、新規に営業を始める業者はあとをたちませんでした。店舗数が増えてくると監視と取り締まりにかかるコストが増大し、過大になると禁止すること自体が困難になります。こうした背景がある中で考え出されたのが、今日まで続けられているライセンス制度です。
イギリスでは1960年に政府から許可を受けた賭け屋の営業を認める法律が成立し、ブックメーカーの存在が公に認められるようになり、1968年にはカジノも許可された者に限り営業が可能になりました。イギリス以外でライセンス制度を取り入れている国は、イギリスをはじめとする先行導入国の事例を参考に、自国の実情に合う形にして導入しています。日本でも、競馬法や自転車競技法などのように特別な法律が制定されれば営業ができるようになりますが、賭博に対するイメージの悪さが広く社会に浸透していることもあって実現するかどうかは難しいです。